順光下、文句無しの描写である。日の当たった部分から影の部分まで全く破綻が無い。キヤノン・レンズの陽性の性格がしっかりと出ている。キヤノンのこの名称のレンズは、その初期から名玉の誉れ高く、現在のＥＯＳシステムに於ても、抜群のコスト・パフォーマンスを持つレンズとして勇名を馳せていることから、自信作であることが伺える。ギリギリした解像力の高さというよりは、ややふんわりとした感じが中央部の建物の影の部分に見られるが、キヤノン・レンズの良さだと思う。決して、ギスギスした感じにならない。

カラー・バランスが若干崩れているが、持ち味の高コントラストが実感できる写りである。さすがにハイライトの描写は厳しいが、現在でも充分に実用レベルである。「空を紡ぐもの」とは誠に「たいそう」なタイトルでお恥ずかしい、、、、

１９８０年代後半から急速に開発が進んだ Admiralty 地区は、以前からの Central 地区と、Wan Chai 或いは大陸側の Kowloon 地区を結ぶ中継点として活況を呈している。従ってビル群も比較的新しく現在でも開発の槌音が絶えない。その中にあって、比較的老舗となった、Mariott ホテルにはご覧のように屋外プールが併設されており、外人ビジネス客の利用が多い。なにしろ、スーツ、ネクタイ姿で颯爽と朝食をとる「かっこいい」方々が多いので、あたしのように、ポロ・シャツによれよれズボンなんてー客はレストランのレセプションのところで、胡散臭げに「じろじろ」見られてしまう。しかし、すっきりとした描写は、ＲレンズのＥ５５タイプのズミクロン５０ミリやエルマリート３５ミリにも似ている。

今や、日本のいや世界のカメラ界の中心の感がある新宿西口、やはり、筆者もカメラ屋さんを徘徊していて、入った喫茶店でアイス・コーヒーを注文。待つ間に一枚。順光下であれほど現代的な写りをしていたレンズが、やや古風な描写をする。開放は柔らかく、絞るとシャープ。まさにその通りの「絵」である。

建築家のポール・ルドルフによる、この Lippo Centre は、その特異な外観とツイン・タワーであることから、中国銀行、香港上海銀行ビルと並んで、日本のマスコミにもよく登場する。若干逆光気味のせいか、描写がやや弱い気がするが、「腕」のせいかもしれない。このビルに関しては、リコーのＧＲレンズ群の人工的な描写の方が好きである。